<社長メッセージ>
2025年3月期は黒字転換を実現
事業構造改革により、成長投資を実行可能な体制へ
Q.前期(25年3月期)の総括をお願いします
平素より格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
前期の業績は、売上高1,712億円、税引前利益63億円となりました。期初に掲げた事業構造改革を実行し、目標の営業利益53億円を上回る黒字転換を実現いたしました。また、第三者割当増資による財務体質の改善・強化も図り、親会社所有者帰属持分比率が32.4%から41.8%と改善しました。加えて、小売事業において、当社独自プランの販売拡大が牽引し、計画以上の利益を達成いたしました。このように、前期は改めて成長を加速するための事業基盤を準備することができました。


Q.今期(26年3月期)の計画を教えてください
今期につきましては、電力小売事業における競争の高まりはあるものの、海外での新設バイオマス発電所やペレット工場の稼働、加えて燃料部門での外販の拡大等を見込み、税引前利益75億円(前年比118.6%)を計画しております。
Q.今後の国内事業の展開を教えてください
第7次エネルギー基本計画(2025年2月発表)によれば、発電電力量に対する再生可能エネルギー比率は2023年度(速報値)の22.4%から2040年には40〜50%へと拡大する見通しです。これに伴い、アグリゲート市場の成長が大いに期待されます。当社は、既存の小売事業拡大と新たなアグリゲート事業で多くの国内外の戦略的パートナーとの共創を加速し、小売収益を抜本的に向上させていきます。

Q.今後の海外事業の展開を教えてください
海外では、東南アジアの旺盛な電力需要に対応すべく準備してまいりましたが、ベトナムでは2025年3月よりトゥエンクアンペレット工場にて製造を開始し、4月にはハウジャンバイオマス発電所が運転を開始しました。現在、さらに2基のバイオマス発電所の建設を進めております。加えて、カンボジアでは26年度上期に水力発電所の完成を予定、バイオマス発電は27年度中に運転開始予定です。
また、ベトナムでは2025年8月および9月に、石炭火力発電におけるバイオマス燃料の混焼実証試験を実施予定です。これらの取り組みにより、当社はバイオマス発電および混焼事業を通じて創出されるカーボンクレジットの獲得を見込んでおります。
新設バイオマス発電
バイオマス混焼
新設バイオマス発電
水力発電
Q.中長期の戦略を教えてください
中長期戦略のテーマは、以下の2つです。
燃料供給のメジャーへ
東南アジアで増大する電力需要と脱炭素への要求に応えるため、バイオマス燃料のサプライチェーン構築に取り組んでまいります。これまでの調査実績を踏まえ、ベトナムおよびカンボジア政府の協力のもと、潜在力のある近隣諸国からの輸入も視野に入れ、コスト効率を重視し、燃料供給のメジャーを目指してまいります。
そして、ベトナムを中心に東南アジアで獲得したカーボンクレジットを日本国内に持ち帰り、国内の脱炭素に貢献し、そこで創出された資金を海外事業に投資します。この循環の実現は極めて画期的で、脱炭素社会実現に大きく貢献すると確信しています。
Q.皆さまへメッセージをお願いします
前期は、今後の成長戦略の基盤を構築できたという意味で大きなターニングポイントでした。
今期は、まず強守として、国内の既存小売事業に加え新たなアグリゲート事業の推進により堅固な事業基盤を強化・拡大します。そして展開として、海外事業の収益化に向け各プロジェクトを着実に進めてまいります。年内にはより具体的な戦略を作成し、中長期の経営計画として発表したいと考えております。
このように、今後も、国内外の脱炭素社会の実現と、東南アジアにおける旺盛なエネルギー需要に対する電力の安定供給の実現を通じて社会に貢献し、さらなる成長、企業価値の向上を目指してまいります。
引き続き一層のご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。
2025年6月
イーレックス株式会社
代表取締役社長 本名 均