【解説】Non-FIT(非FIT)とはENVIRONMENT
再生可能エネルギー源を用いて発電された電気を、国が定める価格で電気事業者が一定期間買い取ることを義務付けた制度を固定価格買取制度(FIT法)と言います。この制度は、再生可能エネルギーの活用を後押しするものでしたが、その原資は利用者が支払う電気料金に含まれる再エネ賦課金でまかなわれており、負担総額が膨れ上がるという課題があります。そこで、いま、FIT法に依存しないNon-FIT(非FIT)発電所が注目されています。
固定価格買取制度(改正FIT法)とは?
再生可能エネルギーの固定価格買取制度(FIT法)は、太陽光や風力、水力、地熱、バイオマス等のエネルギー源を用いて発電された電気を、国が定める価格で一定期間電気事業者が買い取ることを義務付ける制度であり、2012年7月にスタートしました。本制度の開始4年で、再生可能エネルギーの導入量は大幅に増加した一方、再エネ賦課金による国民負担の増大や、未稼働の発電施設の増加などの課題が浮き彫りとなってきました。これらを踏まえて制度の見直しが行われ、2017年4月に制度の根拠となる法律、改正FIT法が施行されました。しかし近年、再エネ賦課金の負担総額が膨れ上がっており、問題となっています。
電気と環境価値とを融合したNon-FIT電気へ
FIT法は再生可能エネルギーの導入に貢献している反面、認定発電所の電気は、再エネ賦課金という形ですでに環境価値への対価が支払われているという理由で、100%再生可能エネルギーとして認められていません。すなわち、「CO2を排出せず、環境負担が少ない」という環境価値は、再エネ賦課金を支払っている人に帰属すると考えられ、「再エネ価値を謳ってはならない」というルールになっています。
これに対して、電気の価値と環境価値を融合させたのがNon-FIT電気です。Non-FIT電気の場合、発電した電気を誰かが買い取る義務はありません。そのため「CO2を排出せず、環境負担が少ない」という環境価値を発電所や電力供給先に付与され、Non-FIT発電所でつくられた電気は100%再生可能エネルギーとして認定されます。このようにNon-FITのメリットが見えてきたいま、国の方針もFIT法の縮小(補助金減)に進み、再生可能エネルギー事業者もFIT法に依存しないNon-FITへのシフトを模索しています。
こうした状況のなか、イーレックスでは、再生可能エネルギーの先駆者としてバイオマス発電事業のNon-FIT化を推進しています。
Non-FIT発電所が「RE100」基準の電力供給を可能にする
いま、国内外の主要な企業が、事業活動で使用するすべてのエネルギーを再生可能エネルギーによって調達することを目標とする国際的イニシアチブ「RE100(Renewable Energy 100%)」に加盟し、サプライチェーンも含めて積極的に再生可能エネルギーの導入を推進しています。また、企業のステークホルダーである株主や投資家が、環境(Environment)、社会(Social)、企業統治(Governance)に配慮している企業を重視し、選別して投資する傾向にあるなど、世界中で脱炭素社会への移行が加速していると言えます。
このような流れを受けて、環境価値が認められているNon-FIT発電の重要性は、今後さらに高まると予想されます。イーレックスでは、現在、日本初となるNon-FIT大型バイオマス発電所の建設計画を進めるなど、業界に先駆けてNon-FIT化を推進し、日本の脱炭素社会の実現に貢献します。
世界最大級のNo-FIT大型バイオマス発電所の完成予想図